メディカル・タッチで絶対にしない手技とは?

 メディカル・タッチは、患者さんが対象のタッチング技術です。その為、他の手技では普通に行われていることでも、メディカル・タッチではしないことがあります。

 患者さんの安全のために、メディカル・タッチでは行わない手技をご紹介します。 

 メディカル・タッチは、皮膚の感覚センサーを反応させるタッチング技術です。筋肉を揉みほぐすのは、マッサージになるのでタッチングにはなりません。

 また、もみほぐす手技は皮膚より深い場所に届くので、刺激量が多く、患者さんを疲れさせることもあります。

 写真はアロマトリートメントなどで、よく行われているニーディングという手技です。強い力でふくらはぎを揉みほぐしています。その為、タッチングが目的とする皮膚より深い筋肉に刺激が届いています

 ニーディングは ”Kneading=捏ねる”という意味です。パン生地を捏ねるときにも使われています。

指を引っ張る手技はしない

 メディカル・タッチでは、患者さんの関節を引っ張ることはしません。変形性関節症や関節リウマチやへバーデン結節などは高齢者や女性に多い病気です。指を引っ張ることで、不快感や痛み、症状を悪化させる可能性があるからです。

 患者さんの中には、病識のない方もおられます。実際、私も高齢者にハンドタッチをして、終わった後に「先週、お医者さんに行ったら、関節リウマチと言われたの」と、患者さんに言われたことが何度もあります。

 メディカル・タッチは、患者さんの安全のために、指を引っ張る手技は行いません。

ポジショニングを崩さない

 メディカル・タッチでは、タッチングのために患者さんに服を脱がせたり、うつ伏せにさせるなど、患者さんを動かすことは一切しません。

 患者さんは自分にとって楽な姿勢をベッドの中で取っています。楽な状態を崩してしまうと、患者さんは苦痛を感じます。不安をやわらげる目的のタッチングで、患者さんにつらい思いをさせてしまっては本末転倒になるからです。

 メディカル・タッチには、患者さんが楽な姿勢のまま、タッチングを受けてもらう方法があるんです。

全身に拘縮がある患者

 イラストのような拘縮がある患者さんでも、メディカル・タッチならできます。この患者さんの姿勢をそのままに、患者さんの体を動かさずにタッチングができるんです。

患者さんが楽になるタッチング

 メディカル・タッチは、患者さんに楽な状態でタッチングを受けていただくのが基本です。このブログで紹介した以外にも、患者さんの安全のために、さまざまの方法を使っているんです。メディカル・タッチ認定講座では、根拠に基づき、患者さんに安全に実践できるタッチングを教えています。

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この記事を書いている人

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前川 知子

鍼灸師/アイグレー合同会社代表 母親をがんで亡くした経験から鍼灸師になり、患者のためのタッチング技術を開発。タッチング技術を客観的に評価する機器の研究・開発も行なっている。Dr, Tatsumiと共に肩甲骨の位置測定の特許を日米で取得。