ジュディーとの別れの日に受け取った感動のプレゼント
8年ぶりに訪れたアメリカで看護部長のジュディーと感動の再会を果たしました。ジュディーは、アイダホを発つ前日に「渡すものがあるから」と再びステイ先の家を訪れてくれました。
「あなたが看護師になったと聞いて、とても誇りに思うわ。お祝いにこれを贈りたいの。私が看護師になった時に欲しかったと思うナースの『手引き』よ。」そう言って大きなボードと1冊の本を手渡してくれました。
「えっ!私に?」と思いがけない出来事に頭が真っ白になりました。まさか、こんな素敵なプレゼントをもらえるなんて…。そのボードには、こんなメッセージが書かれていました、日本語に訳すと 「愛を分かち合い、思いやりで寄り添い、優しさを惜しみなく与える看護師たちに、ご加護あれ(祝福がありますように)。」 と言った内容になるかと思います。
そして、ジュディーがプレゼントしてくれた本がとても感動的でした!!『Because You Care(あなたが気にかけてくれるから)』というタイトルです。
本の裏表紙には、「あなたの大切な人が不安なとき、そばで手を握ってくれる誰かがいる。それが看護師や介護者(caregiver)の役割なのです」という言葉が綴られていました。
本の中で特に心に残ったのが、序文と思われるページの書き出しの一文です。看護師の献身的な姿勢を称える言葉が綴られていました。
「No one goes through life without being touched by the angels—our nurses and caregivers.」
(誰もが人生の中で、看護師や介護者のような天使たちに、触れられずに人生を歩むことはできません。誰もがそのぬくもりに支えられた物語を持っています。)
『Because You Care: Celebrating Nurses, Caregivers and Other Everyday Heroes:BECAUSE YOU CARE』, Steve Potter, Jenica Wilkie, Dan Zadra, COMPENDIUM INC, 2005.
その後に続く文章も本当に素晴らしくて、看護師としての使命、ケアすることの意味が美しい言葉で綴られていました。全文をご紹介できなくて残念ですが、ぜひとも看護師の皆さんにも読んで頂きたい1冊です。
看護で「触れること」は、ケアの本質
この本を読んでまさに、「触れること」はケアそのもの。タッチングは、「ケアの本質」だと改めて感じました。
看護の現場で、看護師が患者さんに触れる手は「単なる作業をする手」ではありません。ケアを通して触れる「手」が、患者さんの心と体を支えているのです。患者さんに安心と希望をもたらすこともあります。タッチングは、看護師の援助技術として日常の看護で実践できる技術です。触れることがケアになる、これこそが看護だからこそできる「技」です。
でも、その「触れ方」に少しだけコツがあることをご存じでしょうか?看護師がどのように触れるかによって、患者さんに伝わる安心感が変わります。どのように手を添えるかによって、患者さんの心がほどけるかが決まります。
「触れること」は、不安や緊張をやわらげ、安楽をもたらします。また言葉を超えた非言語的コミュニケーションとして、コミュニケーションを促す一助にもなります。
気持ちだけでなく、根拠をもって「触れる」
「患者さんが少しでも楽になれば。」この想いは、看護師の皆さんなら誰しも心の中に持っているはずです。そして多くの看護師が、心を込めてケアを行うことを大切にしています。でも、ただ「気持ちを込める」だけではなく「どう触れればより効果的なのか」を知ることで、さらに良いケアができるようになります。
メディカル・タッチでは、根拠に基づいたタッチングの方法を学ぶことができます。タッチングは単なる「手の接触」ではなく、患者さんの心と体に作用する大切なケアです。どれくらいの力で、どこにどのように触れると効果的なのか?より良いタッチングの方法を知ることで、患者さんにより深い安心感を届けることができるのです。
ジュディーが「Because you care」の本にメッセージを書いてくれました。ジュディーからのプレゼントは、私が「触れるケア」を大切にしながら看護を続けていることへの応援であり、「あなたのしていることは間違っていないのよ」と背中を押してくれるメッセージでもあったのです。私もジュディー部長のような思いやりと気遣いの持てる人間になりたいと思いました。
私は看護師の皆さんが根拠をもって触れることで、患者さんに「触れるケアの質」を高めるお手伝いができたらと思っています。看護で触れる手には、想像以上の力があります。
「触れること」は、ただの技術ではなく、「心と心をつなぐケア」です。患者さんに、安心ややすらぎを届けまます。
タッチングの力を知ることで、患者さんに「触れるケアの質」を高めてみませんか?
Because You Care─あなたの手が、希望をつなぐから。